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住民基本台帳
(2005.8.31)
□ 住民基本台帳とは
住民票には、氏名、生年月日、性別、住所のほか、世帯主、戸籍の表示などさまざまな情報が記載されています。その住民票を世帯ごとにまとめ、統一的に管理したものが住民基本台帳です。住民票は、基本的には、住民本人または本人との関係が明らかな者しか交付を受けることはできません。

しかし、住民基本台帳のうち、氏名、生年月日、性別、住所の4つの項目については、誰でも、役所に行けば、その写しを閲覧することができます。

□ 住民基本台帳閲覧制度の現状
総務省の発表によれば、平成16年度の住民基本台帳の閲覧請求件数は全国で150万8,800件あり、世論調査や市場調査などに利用されるケースもありますが、ダイレクトメール業者などの商業目的の民間企業による利用が6割以上を占めています。

住民基本台帳の閲覧を請求するためには、請求の理由を明らかにしなければなりません。また、市町村長は、請求が不当な目的によることが明らかなときや、閲覧によって知ることができた事項を不当な目的に使用される恐れがあること、その他請求を拒む相当な理由があると認めるときは、閲覧を拒むことができるとされています。

しかし、実際には、市町村長が閲覧を拒むことはほとんどなく、それどころか、最近では、この閲覧制度が、振り込め詐欺や性犯罪などの犯罪に悪用されるケースも増えてきています。

□ 閲覧制限の方向へ
このような状況を受けて、自治体によっては、条例を定めて閲覧に一定の条件を設けたり、閲覧の手数料を増額するなどの方法により、閲覧を規制する動きが進んでいます。

また、総務省も、現在、閲覧を制限する法律を作る方向で検討を進めているところです。住民基本台帳の閲覧制度が、犯罪に利用されるようなことは絶対にあってはならないことであり、今後の動きが注目されるところです。
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