TOPICS(ニューズ・レター)


犯罪被害者支援の日から犯罪被害者の日へ
 幹事 假谷 実 (2004.2.25)

昨年10月3日に全国犯罪被害者支援ネットワークの主催で、「犯罪被害者支援の日」制定記念・中央大会が開催されました。

多くの団体のパネルが並べられ、参加者から意見や体験報告がなされ、街頭行進で盛り上がりました。支援の輪が広がっていくことは、被害者としては心強く、感謝いたしております。その中で、犯罪被害者支援策の充実を目指す決議が採択され、犯罪被害者支援が国や地方公共団体の責務であり、早急な施策の実施を求めることとなりました。 決議の柱は次のとおりです。
  1. 犯罪被害者支援機関に対する財政的支援の充実
  2. 犯罪被害者の被害回復と生活支援の充実
  3. 犯罪被害者の二次被害と再被害の防止
  4. 犯罪被害者の司法参加の推進と、被害者への情報提供の充実
  5. 犯罪被害者基本法の制定
この決議の「犯罪被害者の司法参加の推進」の中では、「被害者の刑事手続きや保護手続きへの参加を推進し、被害者による直接的な意見陳述や、被告人に対する直接的な質問(その他必要な行為)などができるようにする。」と掲げられています。

しかし、あすの会が求めている司法への参加は、直接的な意見陳述権や質問権にとどまらず、証拠提出権、証人に対する質問権、訴訟進行や訴訟指揮に対する意見陳述権、訴訟指揮に対する異議権、論告権、求刑権などを含み、附帯私訴も求めていますから、犯罪被害者の司法への参加という点では、弱いものとなっています。
ところで、わたしたちは、「犯罪被害者支援の日」よりも先に「犯罪被害者の日」が制定されなければならないと考えます。
犯罪被害者は長い間忘れられてきましたし、未だに被害者の実状は国民に知られていません。国や社会の中でどう処遇するのかその位置づけもできていません。被害者の抱えるさまざまな問題を出すことが先決です。

その意味で、「犯罪被害者支援の日」よりも「犯罪被害者の日」を制定して、全国各地で被害者問題について考え、論議し、対策を生み出すことが必要ではないでしょうか。

支援は被害者対策の一つとして出てくるものですし、支援の日を先に制定することは、脇役が主役よりも先に出てきたような印象を与えます。 もちろん犯罪被害者支援は必要であり、支援してくださることは心強く、感謝しています。 しかし、今述べましたように、被害者を主体とした「被害者の日」あるいは「被害者週間」、「被害者月間」を制定していただきたいと望んでいます。

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