TOPICS(ニューズ・レター)


犯罪被害者にこそ弁護士は必要だ!
松村 恒夫 (2001.6.25)

今日もまた何処かで、痛ましい事件が起き、
犯罪被害者が誕生しているのでしょうか。
実に悲しい毎日の連続です。
誰もが被害者になるかもしれないこの不安な世相。
一体いつになったら、皆が安心して生活できる世界が実現できるのでしょうか?


 この様な環境下で、残念ながら犯罪被害者となってしまった私たちが、「被害者の権利の確立」と「被害回復制度の確立」を目的に起ちあがって早くも約1年半が経ちました。その間、被害者の立場は、「優先的に裁判を傍聴できる」、「被害者見舞金の増額」など、前進は認められましたが、加害者の恵まれた環境に比べると、甚だお粗末なことは皆様ご存知の通りです。

 中でも、犯罪被害者が国費による弁護士のサポートが得られないことは、加害者に比べて著しく不当な取り扱いをうけていることになります。加害者は起訴時から(今、逮捕時からという要或が出ています)国費でも弁獲士を雇うことが出来る権利を認められているのです。これに対して被害者には弁獲士を国費で雇うことが出来るという権利は、一切認められておりません。必要なら自費でお願いするしか方法がありません。
 しかし、突如として被害者になった日には、 私選なら弁護士を頼めるということさえ知らない方も多いのです。被害者は、事件に遭遇した時に、パニック状態に陥り、警察はもとより、マスコミに対してもどう対応して良いのか判断がつかなくなります。そして被害者は、孤独をしいられ、完全に他人不信になっております。
 この時に頼りになるのが、先輩の被害者のアドバイスでもありますが、他人不信になっている段階では、なかなかそれをすんなりと受け入れるのは難しい状況なのです。このような訳で、 最も頼もしい味方は弁獲士であり、叉その助言なのです 。事件直後は、被害者及び関係者に警察の事情聴取が行なわれており、その時の調書が以後どう使われるのか、わからずに、調書が作成されます。

  この時に弁護士の助言があれば、それなりの証拠能力の高い調書とすることも出来るのです 。つまり事件発生直後から弁護士の助言が必要なのです。事件発生時からマスコミが殺到します。被害者は精神的にも痛めつけられているというのに、マスコミヘの対応までをも強いられます。これは一種の暴力とさえも言えます。叉その上いろいろな中傷がなされたり、我慢の限界を超えます。このような時に頼りになるのは弁護士なのです。

 そしていざ裁判が始まると、被害者は 皆素人ですから、裁判の進行過程がわかりません。裁判所や警察、検察から説明があるわけではないのです。傍聴するにはどのようにして、何処へ申し入れれば良いのかも、わかりません。 一人で傍聴に臨む心細さは言うまでもありません。裁判を傍聴していても法廷用語で分からない言葉も沢山あります。更に被害者が証人として出廷する際の精神的不安感・ストレスは非常に強いものです。

この時弁護士ほど頼もしい相談相手はおりません。裁判の進行中にも、被害者はいろいろ言いたいことが出てきますが、原則として何も言えないのです。しかしこのような時にも、 弁護士がいてくれれば、検事に申し入れたり、検事と面会することが可能になります 。このように裁判中にも、弁護士の力が必要なのです。その他刑事裁判だけでなく、民事訴を起こす必要がある場合には、何といっても弁護士の力にすがるしかないのです。
被害者にこそ、弁護士のサポートが必要なのです。  これから、被害者にも国選弁護士をつけるという制度
『少なくとも加害者と対等の権利の一部』 の実現を国や社会に働きかけて行きましょう。

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