「活動報告」 ◆ 活動の成果 ◆
「全国犯罪被害者の会」オレンジLine


われわれの主張に近づく最高裁判所裁判官    2005.6.25
−犯罪被害者等基本法も生かされる−
性的被害を受けた女性が、所有権を放棄した上で、下着等を証拠として警察に提出しました。
 ところが警察は、犯人も捕まらないうちに証拠品を焼却してしまいました。女性は犯人もあがっていないのに、証拠品を処分するのは被害者の利益を害する違法行為であるとして、損害賠償の訴えを起こしました。

 最高裁の判決は、従来の判例と同じように、捜査は、公の秩序維持のためであって被害者のためにやっているのではないから、所有権を放棄した女性は、焼却されたことについて損害賠償請求権はない、といって女性の請求を認めませんでした。

  しかし、裁判長だった泉徳治判事は、「犯罪の被害者は、個人の尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される人格的権利を有する・・・」として犯罪被害者等基本法第3条と殆ど同じ表現をつかって、たとえ被害者が所有権を放棄していても、提出した証拠品が適正に保管されることについて、法的な利益を持っている、という考えを打ち出し、自治体(警察)は、女性の利益を奪ったから損害賠償の義務がある、という少数意見を出しました。

 これは、犯罪捜査は、公の秩序維持のためだけでなく、被害者のためにもされるべきだ、というあすの会の主張に近づくものです。犯罪被害者等基本法の用語が初めて裁判所で使用されました。

 やがて、われわれの 「捜査、公判は、被害者等の利益のためにもあるのだ」 という主張が裁判所で全面的に認められる日がくるでしょう。そういう期待を抱かせる、少数意見です。
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