わが国の刑事司法は、犯罪被害者を刑事手続から排除して何の権利も与えず、その尊厳を置き去りにしてきた。
しかし、権利意識の向上した今日では、犯罪被害者を『証拠品』としてしか扱わない刑事司法に、犯罪被害者はもちろん一般国民も反発し、司法不信が高まっている。刑事司法は、公益のためだけではなく、犯罪被害者の利益のためにも存在するという、発想の転換が必要である。
全国犯罪被害者の会(あすの会)がおこなった「犯罪被害者のための刑事司法」「訴訟参加制度」「附帯私訴制度」を求める署名活動で、 55万人を超える署名が集まったことが、これを物語っている。
当会では、かねてから訴訟参加制度および附帯私訴制度の導入に大きな関心を持ち、2002年には、ヨーロッパ調査団を結成してドイツ、フランスの実情調査をおこない、その結果を報告書に纏めた。
その後も引き続き研究会を設置して研究を続けてきたが、ここに訴訟参加制度案要綱を策定したので公表する。
この要綱は、訴訟参加の仕組みを定めるもので、研究会にあらわれた議論の細部までは記載していない。
犯罪被害者の刑事司法上の権利の実現は、訴訟参加に尽きるものではなく、刑事司法全般にわたる問題であるが、訴訟参加制度はそのなかで特に重要な地位を占めており、1日も早い実現が望まれる。
当会が、この研究を委嘱したのは、京野哲也、山上俊夫、高橋正人、前川 晶、久保光太郎、白石美奈子、岡村 勲の各弁護士であるが、研究は上記弁護士だけでなく、諸澤英道先生をはじめとする前記ヨーロッパ調査団の方々、当会の幹事、会員から意見を出していただきながらおこなわれたものである。
多忙のなか、精力的に研究に参加してくださった委嘱弁護士ならびにご協力くださった皆様に心からお礼を申し上げる次第である。 なお、附帯私訴制度については、追って制度案要綱を策定する予定である。
2004年7月8日
全国犯罪被害者の会(あすの会)
代表幹事 岡村 勲