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『全国犯罪被害者の会 第8回大会』新しい刑事司法と少年法を考える
2007年(平成19年)11月25日
場所  主婦会館 プラザエフ7F(東京・四ツ谷)
ここでは巻頭言でご紹介した「開会の辞」に引き続き行われた「全国犯罪被害者の会 大会」を、ダイジェスト版でご紹介します。

前半のプログラムでは、検事総長の特別講演「犯罪被害者と検察」と6月20日に制定された「犯罪被害者等の権利利益の保護をはかるための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」についての詳細の解説が行われました。

引き続き、後半は少年犯罪の被害体験の報告を交えながら、現行少年法が抱える問題点や矛盾がテーマとして取り上げられました。
-祝 辞
-特別講演「犯罪被害者と検察」
-■ 犯罪被害者のための新しい制度について
- ・被害者参加・損害賠償命令について
- ・記録閲覧・謄写、情報保護について
- ・新しい被害回復制度について
- ・ 祝辞
-■ 少年犯罪について
- ・ 体験報告
- ・ 少年犯罪被害者が求めるもの
- 終わりに


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祝 辞
高橋 宏・公立大学法人首都大学東京 理事長
 私は7年前に設立された「全国犯罪被害者を支援するフォーラム」の事務局を預かっています。

2000年に文藝春秋で岡村さんが「私が見た犯罪被害者の悲惨な現状」という論文を発表されました。

そして石原慎太郎が僕のところに、「お前、これ読んだか。日本をこのまま放っておいていいのか」と大変興奮してやって来ました。奥さんを刺し殺され失意の中でお嬢さんから励まされ、岡村さんが心機一転立ち上げたのが「あすの会」でした。

2000年7月に石原が「時局を語る会」を開いたとき、岡村さんに30分しゃべってもらいました。

満場の1000人の聴衆が水を打ったように静まりかえり、終わった後、「何とかしなきゃいかん。
政治も民間の善意も含めて応援しなければ」ということになり、「フォーラム」を立ち上げたわけです。

2000年の10月でした。代表発起人はアサヒビールの樋口広太郎さん、トヨタ自動車会長の奥田碩、そして石原慎太郎、そして瀬戸内寂聴さんに決まり、山本千里と私が事務局長になりました。

そのとき250人ぐらいの仲間で3000万円ぐらい集まった。テレビ局はほとんど全部取材にきて、その夜、NHKもテレビ朝日も放映してくれました。

 それから「あすの会」の皆さんは献身的に動かれました。ヨーロッパ諸国の現場検証をされ、国会でもアピールをして動いた。このような努力が実を結んで、刑事訴訟法の改正にもこぎつけたわけです。

 「あすの会」の皆さん、これからも健康に留意されて運動をもっと盛り上げていきましょう。そうすることで日本はよくなります。
ありがとうございました。

 高橋 宏・公立大学法人首都大学東京 理事長
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特別講演「犯罪被害者と検察」 
但木敬一検事総長
 検察官は犯罪に対する刑罰権行使の主要な担い手です。

まず犯罪を捜査し、犯人を起訴するか不起訴にするか、起訴しなければならない場合は罰金か公判請求かを判断し、公判請求した場合は裁判の中で有罪を立証し、最後に求刑をします。

判決が下ると、内容によって上訴の是非を検討します。刑が決まれば、その執行指揮も担当します。

 被害者は復讐権や私的報復権を取り上げられているので、刑事手続の担い手である検察官は被害者の悲痛な気持ちや苦しみを担って、その気持ちを汲み上げた上で検察権を行使しなければなりません。

 私は、地方の検察庁を回り若い検察官たちと座談会を行うことにしていますが、今必ず出るのが被害者の問題です。昭和60年代の始めに、伊藤榮樹元検事総長は『被害者とともに泣く検察』というスローガンを標榜しました。

その時代の被害者は、ものを言えぬ被害者、泣き寝入りを強いられた被害者でした。今は、ものを言う被害者、権利を主張する被害者に検察がどう対応するかが求められています。したがって、「あの時代の被害者問題と今の被害者問題を同じように考えて対応するのは間違いだ」ということをまず話しているのです。

 また、被害者の方が、刑事手続の中で何とかして自分の気持ちを汲んでもらいたい、自分の気持ちをぶつけたいと思ったときに、その相手は検察官しかいない。

時に被害者の方は理不尽かもしれない、感情的かもしれないが、それを間違っていると思ってはいけない。それを理不尽だと思うのは、検察官という立場でものを見ているからだということも伝えています。

 どの検察官も苦吟して、被害者の方たちの苦痛を背負い、被害者の心情を汲んで、正義を実現するために何をなすべきかということを一生懸命考えているのだということはどうか信じてください。

 犯罪被害者の方々の中には、警察や検察庁に呼ばれてずいぶん不愉快な目に遭われた方もいると思います。私も被害者になって調べられたことがあり、調べを受けるのがどれほどつらいことかよく分かるようになりました。

しかし、真相の究明や皆さん方の心情を汲んだ処分・求刑をするためには、痛みにも耐えていただかなければその先に進まないということをぜひご理解いただきたいのです。

 もう少し各論的に、検察庁が今被害者の方たちのためにどんなことを考えているのかということについて話しますと、まず被害者通知制度というものを全国に設けておりまして、事件の処理内容や裁判時期、裁判結果、刑の執行状況などを皆さんの要望にしたがって通知します。

不起訴となった場合に、皆さんがどうしても納得できないときは言ってください。皆さんのお話をしっかり聞き、丁寧に説明するように全国に指示をしております。

また、不起訴事件は原則、記録は非公開ですが、民事の損害賠償請求をする際に、重要な部分はご覧いただけます。

公判中の記録の閲覧・謄写も以前は禁止でしたが、今は原則ご覧いただけるように変わってきました。さらに、検察審査会法が改正され、不起訴事件について、二度起訴相当の議決が行われると、起訴手続が取られるようになります。

 それから、被害者の方の情報の保持・秘密の保持という観点から申し上げますと、被害者の方から申立てがあれば、裁判の中で最初から最後まで名前は伏せられるようになります。

また、被告人と被害者が顔を合わせずに証人尋問が行えるビデオリンクという方法もとられています。

 刑事訴訟法改正と裁判員制度の導入で、刑事裁判は現在とはまったく違う革命的な時代に入るでしょう。検察官と被害者の関係も革命的に変わります。

法廷において、検察官と被害者の方はすごく近いところに位置するようになります。そしてお互いに意思を疎通させながらひとつの刑事裁判を遂行していくという関係に立ちます。

これからの時代、何よりも大切なのは皆さんと私どもがお互いにその心情を理解しながら、理解と信頼の下で制度を運用していくことです。

検察官と手を携えて正義の実現のためにぜひご協力をいただきたいと思います。

但木敬一検事総長
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犯罪被害者のための新しい制度について
被害者参加・損害賠償命令について 高橋正人弁護士
 今年の6月20日に国会を通った被害者のための刑事訴訟法の大改正について、その内容を簡単に説明いたします。

 まず、今回の改正により、検察官に対して説明を求めることが権利として認められるようになりました。被害者の求めに応じて、検察官は、どのような手続を裁判所に対して行う予定か、あるいは行ってきたのか、被害者に分かり易く説明しなければなりません。

たとえば、なぜ、殺人罪で起訴せず、傷害致死罪という軽い罪名で起訴したのか、被害者からの要求があれば、検察官は、十分に納得のいく説明を被害者にしなければなりません。

今までは、検察官の好意で説明が行われていましたが、被害者が求めれば検察官は必ず説明しなければならない義務が明記された訳です。

 次に、被害者は、検察官の近くに座って(在廷権)、検察官とともに刑事裁判に直接参加することが認められるようになりました。

今までは傍聴席で検察官の訴訟行為を見守るしか方法がありませんでしたが、改正により、バーの中に入って検察官とともに直接裁判に参加することができる訳です。

 具体的には、検察官とは別に、被告人や証人に被害者自ら反論する権利が認められるようになりました。これを被告人に対する質問権及び証人尋問権と言います。

具体的には、被告人やその家族(情状証人)が、言いたい放題述べていた場合、その場で直ちに検察官に申入れをし、裁判長から発言の許可を得ることを取り次いでもらい、許可があれば、被害者自ら、または被害者が依頼した被害者のための弁護士(これも近いうちに国の費用で選定してくれる制度ができる予定です)が、被告人や情状証人に反論することができる訳です。

今まで被告人の勝手な言い分を、傍聴席でただただ黙って見ていることしかできませんでしたが、それが自分で、あるいは被害者のための弁護士によって、問いただすことができるのです。

 最後に、検察官が行う求刑とは別に、被害者の視点で独自に求刑する権利も認められるようになりました。  このように、「被害者参加制度」では、5つの権利が被害者に認められました。

 次に「損害賠償命令制度」です。

これまでの制度では、被害者が蒙った損害を被告人に金銭的に償ってもらうためには、刑事裁判とは別に被害者自ら民事裁判を起こす必要がありました。

しかし、今回の改正により、刑事の判決が言い渡されたら、ただちにその場で、刑事の裁判官が刑事の裁判で使った証拠資料を用いて損害賠償の審理を始めてくれるようになります。

しかも、審理は、原則4回以内で通常、3ヶ月くらいで終わらせなければなりません。短期間のうちに、刑事の裁判官が民事の賠償命令を言い渡してくれる訳です。

費用の負担も格段に少なくなりました。印紙代は、損害額如何に関わらず、一律2000円で済みます。  日本の刑事裁判の法廷の風景は、裁判員制度と相まって、来年の秋ころから一変します。

これは戦後60年続いてきた被害者を蚊帳の外に置いてきた刑事裁判に、新たなページを切り開くものです。

高橋正人弁護士
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記録閲覧・謄写、情報保護について 京野哲也弁護士
 今回の法律改正の中で、記録の閲覧・謄写関係と被害者の情報保護の2つをご説明いたします。

 被害者には、刑事裁判の記録を通じて事実を知ったり、民事の裁判を起こしたいというニーズがあります。

2000年の法律改正で、それまで一切できなかった記録の閲覧・謄写が認められるようになりましたが、それは損害賠償請求など正当な理由がある場合に限られていました。

今回、とくに理由を明らかにしないでも被害者が求めれば閲覧・謄写ができるようになりました。

 また犯罪被害者、とくに性犯罪被害者の方は、プライバシーの侵害を受けたり、危険にさらされないように、公開の法廷で起訴状や証拠書類の読み上げの際、被害者を特定できないような形で述べることができるようになりました。

加害者の弁護権との関係で、すべてが認められるわけではありませんが、一定の進歩と言えると思います。

 この制度はまだ十分なものとは言えません。加害者のプライバシーを守るという理由で、記録のほとんどが黒く塗りつぶされていたり、被告人の身上調査が出てこないなどの問題点はあります。

しかし、被害者保護のために前進した内容であり、適正に運用されることを引き続き求めたいと思います。

京野哲也弁護士
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新しい被害回復制度について 白井孝一弁護士
 「あすの会」ができた目的のひとつは、犯罪被害者の権利確立と経済的援助のための被害回復の充実にありました。

犯罪被害者等基本計画を実現するために作られた「被害回復、経済的支援のための検討会」の中で、岡村先生が新しい保障制度のあるべき姿について意見書を提出しました。

私も「あすの会」の300名近い会員の方々の実態調査や、何人かの会員の方の具体的な資料を出し、実際に経済的にこれだけ困っているからこういう改革をしてほしいという提言をしました。

その結果、抜本的な保障制度の創設はできませんでしたが、最大限の改正・改善をすることで最終的に取りまとめられました。

 まず理念として「社会連帯共助の精神に基づき、犯罪被害者等の尊厳ある自立を支援する」、目的として「犯罪被害者等が、その置かれている状況等に応じて、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援を受けられるようにするための施策の一環として、犯罪被害者等が受けた被害による経済的負担の軽減を図るための必要な支援を行うこととする」という内容が明記されることになりました。

 この理念と目的は、基本法3条の「犯罪被害者には、その尊厳にふさわしい処遇を受ける権利がある」ということを前提としており、今後、作られるであろう保障に関する法律は、それに基づき解釈・運用されることになります。

 それから給付水準が引き上げられ、遺族給付・障害給付とも最高額は自賠責保険政府保障事業並みになります。

重度障害者の引き上げを重点的に行うこと、引き上げ基準の設定や金額の算定には、将来得られるであろう利益の遺失も考慮することや、若年層の被害者が中高年齢層と比べて不当に低額とならないよう配慮することなどが定められました。

 カウンセリングについては、とくに性被害の方、重篤なPTSDの被害の方などは保険で受けられるようになります。また地方自治体に対策を求めることも定めてあります。

 また現在は保障の請求期間に時効がありますが、やむを得ない事情であったことが証明されれば申請できることになりました。

仮給付などを迅速に受けられるように、運用面の改善も期待されています。このほか被害者の方の経済的支援に関する総合的なアドバイザーを育成することが定められています。

 この制度は一般財源を原則として、政府全体として予算を取るべきであるということが盛り込まれ、同時に民間基金を設立して保障から外れた人たちを救済していくことも言及されています。

今後、制度の充実のために、皆さんの関心とご意見を寄せていただくようお願いします。

白井孝一弁護士
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祝辞 早川忠孝衆議院議員
 このたび自民党政務調査会の「犯罪被害者等基本計画の着実な推進を図るプロジェクトチーム」座長に就任をさせていただきました。

まず第2回犯罪被害者週間を迎えるに当たり、ご尽力をいただいた関係者の皆さんに心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 平成16年に犯罪被害者等基本法が成立しました。岡村弁護士が多くの犯罪被害者の家族の方々を集められ、さらに全国に署名活動を展開し、国会議員を動かすところまでいかれた。

 私は平成15年まで東京弁護士会の副会長を務めた後、衆議院選挙に当選させていただき、最初に取り組ませていただいたのが、犯罪被害者等基本計画の策定の作業です。

多くの自民党の国会議員が、犯罪被害者の方々の権利、利益を保ち、名誉を尊重していかなければならないという意識に燃え立ち、自民党を大きく動かしました。

 今回の犯罪被害者等基本計画の策定と3つの検討会における報告が、犯罪被害者のための支援策を大きく前進させるということを私は確信しております。

犯罪被害者の方々に対して、少なくとも自賠責並みの損害賠償を実現していくことが今回の検討会の大きな目玉だと思っております。

さらに犯罪被害者の方々に公的な費用で弁護士をつける制度の構築も大きな課題です。

 被害者の方々に対して、国としての特別の給付を、党派を超えて全会一致で実現していきたい。そのための懸命の作業を今、行っています。

何とか我々ができることをして参りたいという決意を表明して、ご挨拶に代えさせていただきます。

早川忠孝衆議院議員
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少年犯罪について
体験報告 土師 守
 1997年5月24日、当時14歳の少年により私の次男が殺害されました。

3日後、頭部を犯人の少年が通っていた中学校の正門前に放置した上、警察に対して挑戦状まで送りつけたという極めて残酷で猟奇的な事件でした。

 私は少年法の矛盾に驚かされました。少年審判では傍聴も認められず、動機や審判の経過、少年の供述内容、少年の両親の事件に対する思い、遺族への謝罪の気持ちの有無など、まったく知ることができません。

つらい心情を審判廷で発言することも、両親の供述調書と少年の精神鑑定書を見ることもできませんでした。

得られる情報はマスメディアによる伝聞のみで、その信憑性も検証できず、真実は一切わかりませんでした。

 やがて審判は終了し、少年は医療少年院に入所し更生の道を歩むという決定が下されました。異例にも審判の決定要旨がマスコミに公表されましたが、私たちにそれは届けられず、審判決定書の全文も見ることはできませんでした。

 事件の背景や責任の所在を明らかにするために民事訴訟を起こしましたが、相手が事実を認めたため争点にならず、資料は一切見られません。

勝訴しても賠償金支払いもまったく期待できません。裁判をして唯一よかったのは、両親の責任も認められたことでした。

 少年法が抱える問題点につきまして、私なりの考えを述べたいと思います。 加害少年の保護、更生を考えるという基本的精神には私も賛同しています。

しかし重大な犯罪と軽微なものを同列に扱うのは許されないと思います。最大の問題は、少年審判を非公開とする原則です。

犯行理由や状況、加害者の詳細、どうすれば被害を防ぐことができたのかなどについて、深刻な犯罪の被害者には知る権利があるはずです。

加害者を守るために、被害者がその権利を奪われるのは本末転倒ではないでしょうか。

 また加害少年には罪を十分に認識させる必要があると思います。悲しみの底に深く沈んだ被害者や憤怒に震える遺族の姿を知り、痛切なお詫びの気持ちから後悔の念を導き、そこから真の更生は始まるのではないでしょうか。

 通常、少年審判では加害少年の主張に反論する人がいないため、自分の立場を有利にするための嘘が事実として認定されてしまう恐れがあります。

それが処分決定に大きな影響を及ぼし、被害者の尊厳も大きく損なわれてしまいます。被害者や遺族が審判に参加すれば、真実を述べる可能性が高くなると思います。その際には、加害少年や両親への質問権も認められるべきです。

 また被害者が少年であれば、小さな兄弟がいる可能性は非常に高いと思います。加害少年は法律で保護されていますが、被害者の兄弟に公的な支援は何もありません。自力で立ち直らなければいけないというのは、あまりにも理不尽です。

 現行の少年法は被害者の尊厳に配慮しているとは言えません。加害少年の保護と同時に、その点を配慮した内容に改正してほしいと切に希望します。
体験報告 松尾剛史
 事件が起きたのは平成13年6月14日です。翌日、午後2時に私の長男・翔平は亡くなりました。まもなく16歳を迎えるというときでした。

 6月9日に運動会で応援団員をした長男は、翌日、男子生徒15名ほどと女子生徒5、6名とで内緒で打ち上げ会をやり、そのとき少しアルコールも出てしまいました。

酔った女子生徒がベッドのある部屋で横になり、その後、長男も酔って具合が悪くなり、そのベッドの部屋に行きました。

女子生徒が部屋を出てベッドが空いたところに横になった。そこに女子生徒が戻ってきて、「私も横になっていい?」と言って横になったのです。

そこにいた別の女子生徒に注意されて、長男は部屋を出ました。その夜、女子生徒は帰宅後、友人の少年に「男の人と寝た」というようなことを電話で言ったのです。

焼きもちやきのその少年は肉体関係があったと思い込み、長男を探し出して6月14日の放課後に学校前に呼び出して決闘を求め、長男が断るとその夜、公園に呼び出しました。

相談をした何人かの友人がその場所についていきました。そこから無理やり連れて行かれた長男は一方的に暴力を振るわれ、公園の縁石に頭を打ちつけて意識を失ったのです。

相手は逃げ、友人が救急車を呼んでくれました。当時、私は単身赴任中でしたが、連絡を受け未明に病院に駆けつけました。長男は集中治療室に入っていました。

 私の姉に病院から電話をしたとき、「朝刊に書いてある事件、翔ちゃんのことなの」と言われ、新聞を見たら「女性問題がもとで高校生同士が喧嘩、1人が重体」とあります。

あまりにもひどい、真実を知りたいという思いはそこから始まりました。その後、長男は励ましの甲斐なく亡くなったのです。

 朝、知らない人が病院に来て、「うちの息子が大変なことをして」と言います。もらった名刺を見ると北海道警察の警視でした。

 その後、現場にいた長男の友人から話を聞きました。すでに警察は事件の夜、加害者の仲間を聴取して、翌日、その警察官の息子が逮捕されました。

警察は生き残っている加害者の言い分を聞き、あらすじを決めて証拠集めをするのではないかと思います。そして新聞記者が警察担当者に聞き、あのような記事になる。

息子の友人の話と新聞の記事が違うのはなぜか、真実は何か。通夜と告別式のとき、私はそのことを話しました。

 犯人の少年は7月3日が16歳の誕生日で、なぜか7月2日に地検に送られ、その日のうちに家庭裁判所に送られました。警察からはそのことを知らされませんでした。

私は家裁で記録の閲覧・謄写を申し込み、逮捕時の加害者の供述を知りました。

私は全部読んで、その矛盾点を書き出して、その調書がいかにでたらめであるかを意見陳述で説き、逆送してほしいと主張しましたが、それはかないませんでした。

また、一方的に悪い印象を与えるような報道をした新聞社や放送局を回りました。その結果、この事件についての私たちの言い分を報道してくれたところも少しずつ出てきました。

 審判結果では相手側の一方的な加害行為ということを認められましたが、逆送ではなく中等少年院送致になりました。

 その後、民事裁判を起こし、2006年、1審で賠償金支払いの判決が出ました。加害少年の親や原因を作った女子生徒の責任も追及しましたが認められませんでした。

今年、最高裁の判決が出たのですが結果は同じでした。賠償金は払われていません。お金がほしいのではなく誠意を見せてほしいということで、今、弁護士を通じて調整をしているところです。

 優しかった長男が戻ってこないのが私としてはいちばん悔しいです。

法律改正だけで犯罪はなくせないかもしれませんが、その中身や被害者の実態をすべての人に知ってもらい、地域から犯罪を起こさない、犯罪を起こすような子どもが育つのを周囲が許さない風潮が育っていくことが私の願いです。
体験報告 古山君子
  平成17年11月10日の夜、私は仕事に出ていて家で留守番をしていた高校1年生の一人娘、優亜を殺されました。

娘が2歳の時に離婚し、以来ずっと母子2人で生活をしていました。翌11日早朝、仕事を終わらせ私は自宅の団地に帰りました。

中に入ると玄関には大量の血痕、散乱した荷物などで足の踏み場もありません。慌てて居間を見ると、全身真っ赤に染まった娘が仰向けに倒れていました。

「ゆうー、ゆうー」、何回も叫びましたが動きません。早く助けてもらおうと警察に電話をするのですが、なかなかつながりませんでした。

 その日の夜半、取り調べの後、実家へ戻ったとき、ニュース速報で、同じ団地に住む16歳の少年の逮捕を知りました。知らない名前でした。

 娘は全身に50ヵ所以上の傷を負わされ、必死に逃げ回り、頸部を切られ殺害されたのです。

 少年は、家庭裁判所の精神鑑定で「広汎性発達障害」と分かりましたが、逆送されることになりました。裁判ですべてが分かると信じて傍聴してきました。

しかし検察官の質問に投げやりに答える少年からは反省の態度など微塵も感じ取ることができず、怒りや憎しみを抱きました。

 盗んだ娘のカバンの中から鍵だけを取り出して持ち歩き、しかも台所まで行き、流し台の下の包丁を持ち出している。

これだけで十分な殺意や計画性があったと思います。しかし、判決では計画性は認められませんでした。

 同じ未成年でも優亜の名前や写真、小学校の時のビデオまで放送され、ありもない話が週刊誌に掲載されて本当に傷つきました。

犯人は、名前も写真も親の名前も世の中に出回ることがないのです。

裁判では、入退廷はついたてで覆われ、席も裁判官へ向いていて、表情などまったく分かりません。どんな嘘を言っても、最後に「申し訳ありませんでした。反省しています」と言えばそれがまかり通るのだと感じました。

 今の少年法では刑が軽く数年で社会復帰します。それで更生ができたと誰が判断するのか、再犯したら誰が責任を取るのか。殺された者は生き返りません。判例に関係なく死刑になって欲しかった。

 娘を失い仕事も辞めざるをえず、電話やインターフォンの音にビクビクしながら生活していました。優亜を思い出さない日はありません。

今は、優亜を守れなかった罪悪感でいっぱいです。毎日、涙をこらえて少しずつ仕事をしていますが、収入は激減です。

二度と悲しむ遺族が増えることのない社会に、そして一日も早く少年法が大幅に改正されることを願います。
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少年犯罪被害者が求めるもの 守屋典子弁護士
 被害者の権利や利益を認めなかったり、被害者に更なる犠牲を強いる形で更生をさせてはいけない。

こういう視点が今までの少年法の解釈にはすっぽり欠けていたと思います。

 12月から2000年少年法の5年後見直しの法制審が始まります。その中で「あすの会」は次の3点の要望をしています。

 少年審判は、加害少年が将来順調に社会復帰できるようにするためそのプライバシーを保護する必要があるという理由で非公開です。

しかし被害者に対しては、公開原則から情報を提供してはいけないということにはならないはずです。

また、少年審判では少年の更生に対する協力者だけが出席し、そこで事実認定が行われるため、被害者が後日記録等を見ると、いろいろ事実に反すると思う部分が少なくないのです。

そこで傍聴ではなく質問を認めてほしいと考えています。もうひとつは社会記録の閲覧です。

社会記録とは、家裁の調査官などが少年の生い立ちや環境等について調査した結果を書いたものです。プライバシー尊重の理由から、被害者に対しても閲覧は認めるべきではないという人もいます。

しかし被害者は審判を傍聴して、事実や審理の内容、少年の供述、下された処分やその理由等について知る権利があると思います。

少なくとも処分決定に必要な範囲で、重大な被害に遭われた被害者に対して社会記録の閲覧を認めてもいいのではないでしょうか。

今回の法制審では、以上の3つの点について強く要望していきたいと思っております。

守屋典子弁護士
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終わりに
岡村勲代表幹事
 今後も今までと同じように「あすの会」をさらに発展させて、あすの被害者を救う運動を行っていきたいと思います。

 なお、白井弁護士の経済的支援の話の中で、時間の都合上、報告できなかった点についてご説明いたします。

白井弁護士が、被害者に対する補償の諸外国と日本の国民一人当たりの負担額を調べてくださいました。

いちばん大きいのはフランスで600円、その次はイギリスで483円、ドイツは271円、アメリカは179円です。ところが日本は8円71銭。

国連の分担金はアメリカに次いで世界第2位の日本が、国内の難民に対しては8円71銭しか払わない。

もちろん困っている人は犯罪被害者だけでなく、阪神大震災とか中越大震災の被災者の方や生まれながら障害を持っている方もいらっしゃいます。

ですから犯罪被害者だけを優遇しろとは言いません。

しかし外国と比べて日本はこんなに安いのだ、これでいいのかということを皆さんと一緒に考えてみていただきたくて資料を披露させていただきました。

岡村勲代表幹事
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